近代フクイの偉人を知る




 
高見順
高見順高見順は、旧三国町(現坂井市)で当時の福井県知事・阪本釤之助(さかもとさんのすけ)の私生児として生まれています。一度も父親の顔を見ることもなく1歳の時に上京しますが、私生児として差別を受け、その幼少時代より貧しく不遇な環境に育ちました。そのことから当時より高見順は、ふるさと三国に対して複雑な思いを抱いていたと言われています。

東京帝国大学に入学するとその在学中より左翼活動に関わり、「左翼芸術」などに作品を発表、プロレタリア文学の作家として一躍脚光をあびますが、1932年に治安維持法違反の疑いで検挙されると釈放のため転向を表明。 その苦悩と敗北感にさいなまれながらも書いた転向小説「故旧忘れ得べき」(1935年)で第1回芥川賞候補になると、大戦中には「如何なる星の下に」(1939年)、戦後は「わが胸の底のここには」(1949年)「あるリベラリスト」(1951年)などの小説を次々と発表し、高い評価を得るようになりました。晩年においては昭和という激動の時代をテーマにした「いやな感じ」(1963年)「激流」などを発表。また1941年より戦中、戦後の模様を綴り、昭和史の資料とも言われる「高見順日記」を著しています。
1956年、雑誌の企画により、それまでほとんど訪れる機会のなかった三国へ帰郷しましたが、予想外に町民が暖かく迎えてくれたことでそれまでの認識を改め、自らが病苦にあえぎ死の直前に至ると、その絶筆詩集「死の淵」の中で故郷に対する想いを一編の詩「荒磯」に込め、「おれは荒磯の生まれなのだ」としたためるなど、ふるさと三国への強い愛着をしめしました。しかし病魔には勝てず、1965年、食道癌のため58歳の生涯を終えています。
晩年は日本ペンクラブや日本近代文学館創立に尽力するなど文壇界に大きな功績を残し、没後には「文化功労賞」が授与されているほか、現在でも優れた詩人に「高見順賞」が贈られています。
父の釤之助(さんのすけ)は漢詩人、作家・永井荷風とは従兄弟同士、またエッセイストでタレントの高見恭子は実子と、文学に長けている血筋と言えるでしょう。 (写真:三国龍翔館蔵)


 
三国の街並
旧岸名家昭和を代表する作家、高見順を輩出した三国。江戸時代後期から明治にかけ、特に北前船の寄港地として栄えたこの町には、現在でも当時を偲ばせる建築物や屋敷などが数多く残っており、実際に街中を歩けば、まるでタイムスリップをしているかのような印象すら受けてしまいます。高見順も愛したこの古き町並みを散策し、そのノスタルジックな雰囲気を楽しんでみましょう。

えちぜん鉄道「三国駅」から徒歩5分程の「三國湊きたまえ通り」。この風情あふれる旧市街地通りにある「旧岸名家」では、かつて材木商として名をはせた豪商、岸名家の家屋が残っており、その内部まで見学することが出来ます(入場料100円)。「かぐら建て」と呼ばれる家屋の造りや、「笏谷石(しゃくだにいし)」が敷き詰められた通路や土間、昔そのままの帳場や座敷などレトロな雰囲気を味わえます。


入口よりすぐの帳場
入口よりすぐの帳場
中を通る通路
中を通る通路

 
また同じく三国を代表する豪商、北前船交易で成功し財をなしたのが森田家です。その後は銀行業に転じましたが、今でも現存する銀行本店は、その西洋風で立派な外観と白を基調とした木目の内装を美しく保っており、実に品のある優雅な造りと言えるでしょう。実際、10数年前までは福井銀行の支店として使われており、現在は国の有形文化財にも登録されています(見学無料)。

森田銀行
森田銀行
今もなお美しい内装
今もなお美しい内装

さらに江戸小唄と三味線が小粋に流れる茶屋「竹よし」では、三味線を聴きながらお茶が飲める他、初心者向けの三味線体験(20分)もできます。今もなお三国に受け継がれる江戸の情緒をお楽しみください。
竹よし
また、この「三國湊きたまえ通り」には三国観光の手助けしてくれる施設もあります。
「三国湊町家館」ではボランティアのガイドさんが常駐し、三国の歴史を紹介するコーナーもある他、休憩所やトイレなども用意されているので、ぜひお気軽にご利用下さい
また「三國湊座」では文化イベントの発信地として、あるいはレンタサイクルの貸し出しを行うなど、三国周遊に欠かせない場所になっています。

三国湊町家館
三国湊町家館
三国湊座 三国バーガーが人気!
三國湊座 三国バーガーが人気!

さらに三国には、江戸初期から日本海側有数の遊興街として賑わいを見せた「出村町の町並み」があり、当時の面影を今もなお色濃く残しています。
またその周辺には、高見順の生家を始め由緒ある寺社仏閣なども数多くあり、かつての町並みが偲ばれます。

町の入り口にある思案橋
町の入り口にある思案橋
風情あふれる街並み
風情あふれる街並み


 
その独自の文化と歴史を歩んできた三国。それらを紹介し、後世に伝えるべく造られた博物館が「みくに龍翔館」です。館内の詳しい様子は、この「あそびーのマガジン2010年10月号」でもお伝えしていますが、その3階部分では「三国と近代文学」と称し、高見順を始め、三好達治や森田愛子などの文豪達と三国との深いつながりを紹介しています。

小説家としての歩みを解説
小説家としての歩みを解説
再現された高見順の書斎
再現された高見順の書斎



<みくに龍翔館>

住所 福井県坂井市三国町緑ヶ丘4丁目2-1
TEL 0776-82-5666
9:00~17:00 (休館 毎週水曜日 ※祝日の場合は翌日、年末年始)
一般300円、中学生以下150円
(坂井市の小中学生、および身体障害者手帳保持者は無料)

アクセス
■えちぜん鉄道 JR福井駅から三国芦原線「三国駅」から徒歩10分
■車

北陸自動車道「金津インター」から車で約25分

みくに龍翔館 マップはこちら

メニューへ

 

土木技師 【G.A.エッセル】 小説家 【高見 順】 医師 【藤野厳九郎】 作曲家 【今川 節】 作家 【水上 勉】