あそびーのマガジン vol.72


今年1月号の特集では、「えちぜん鉄道」の三国芦原線を取上げましたが、えちぜん鉄道にはもう1路線「勝山永平寺線」があり、こちらの方が三国芦原線より13年も早い、大正3年(1914年)に開業しています。

沿線は、福井市街地を抜けると田園の中に出て、松岡駅を過ぎた辺りから山すその少し小高いところを通り、九頭竜川の流れに沿いながら終点の勝山駅へと向かいます(27.8km、所要1時間弱)。
途中、電車は何度も右へ左へと向きを変え、その度に車窓風景が変わっていきます。
特に春の時期は、多くの駅舎やホームの近くに植えられている桜の木、沿線に咲く菜の花やれんげなどの花々、遠くに見える残雪が輝く山々とあわせて、のどかで春らしい華やいだ景色を車窓から楽しむことができます。

また、えちぜん鉄道では、2年前から実施している「サイクルトレイン」を、今年はさらに充実させて実施中。電車と自転車を合わせて利用すれば、降り立った駅からフットワークよく行動することができます。

春風を感じながら、春景色を楽しむ電車と自転車の旅に出かけてみませんか。
今月は、えちぜん鉄道勝山永平寺線の沿線と、サイクルトレインを利用した「ポタリングコース」を紹介します。

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JR福井駅横にあるえちぜん鉄道福井駅。車体の白色と青色が鮮やかな電車が福井駅を出発すると、左手に急ピッチで工事が進む北陸新幹線の高架橋を見ながら、新福井駅・福井口駅へと、まずは福井市街を北進します。

福井口駅は「勝山永平寺線」と「三国芦原線」の分岐駅。三国芦原線は左手の築堤を上り、JR線とオーバークロスして、日本海近くの三国港駅へと延びています。勝山永平寺線は、福井口駅に隣接するえちぜん鉄道の社屋・車両基地の横を通って、進路を東に変えていきます。

福井市街では駅間距離が長くても1kmくらいしかなく、電車は街中の小駅をこまめに停車していきます。
越前開発(えちぜんかいほつ)駅を出ると複線の線路も単線になり、越前新保駅からは市街地が途切れ、田園風景が見え始めます。

越前開発駅を出た辺りから右手に見えてくる水路は「芝原用水」。江戸の頃、福井城下に上水道(飲料水)を引く水路として設けられたもの。現在も永平寺口駅近くにある九頭竜川鳴鹿大堰(なるかおおぜき)から取水さた水は、この辺りの田畑を潤し、また、福井市街では小さなせせらぎとなって、福井市民の安らぎの空間を作り出しています。
越前新保駅辺りの芝原用水沿いには桜並木があり、4月に入るとこの用水を覆い隠してしまうくらいに大きく広がった枝に桜の花が咲き誇り、きれいな景観を見せてくれます。
複雑に線路が入り組む福井口駅構内
越前開発駅
越前開発駅からは単線に
春にはきれいな花を咲かせる芝原用水の桜並木

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工業団地の横にたたずむ追分口駅辺りは、昔、(えちぜん鉄道の路線とほぼ並行して延びている)奥越の勝山へ向かう勝山街道と、大本山永平寺へ向かう永平寺道が分岐していたところ。
駅近くの郵便局から用水沿いに延びる道がかつての勝山街道。そこから250mくらい行ったところが永平寺道との分岐で、永平寺道側には大きな石の道標があります。また、分岐地点にある地区掲示板の下には、3つに折れてしまった勝山街道の道標が残っており、左を指している手の形の矢印や吉峰寺という文字が見て取れます。

東藤島駅を出ると、すぐ左手に大きな東超勝寺・西超勝寺の本堂が見えます。
戦国時代、一向宗の拠点となった寺で、江戸時代までこの辺りに大きな影響を及ぼしていました。
神社横の小さくたたずむ越前島橋駅を出て、北陸自動車道の下をくぐると、電車は福井市から永平寺町に入ります。
追分駅近くの永平寺道
西超勝寺の山門
東藤島駅
越前島橋駅
永平寺町最初の駅、観音町駅近くには酒蔵があり、松岡駅までは住宅街の中を走ります。
江戸時代初めの約70年間、ここ永平寺町松岡地区には「松岡藩」が置かれていました。
観音町駅から松岡駅までの間、車窓左手側には当主の館や武家屋敷が、右手側には勝山街道が延び、その道沿いには町人街が形成されていたそうです。
当主の館跡には、当主が愛でていた椿の木が1本残るだけで、往時を偲ばせるものはありませんが、勝山街道沿いには「うだつ」のある古い民家が点在し、多くの人が行き交っていた頃の街道の雰囲気を漂わせています。

松岡藩城下町を巡る散策コースは、こちらから
松岡藩主が愛でていたといわれるお館の椿
今も往時の面影を残す勝山街道筋の町並み
観音町駅周辺のスポット 福井県内水面総合センター
松岡駅周辺のスポット 大廻り史跡火薬局跡九頭竜川左岸堤防桜並木芭蕉塚
けんぞう手打蕎麦黒龍酒造株式会社浜田醤油味噌醸造
松岡古墳群( 春日山古墳二本松山古墳乃木山古墳 )
松尾芭蕉が「奥の細道」の道中に立寄った
天龍寺にある「余波の碑」
けんぞう手打蕎麦の越前おろしそば
昭和9年(1934年)に建設された木造駅舎の松岡駅を出ると、電車は九頭竜川の河岸段丘の上に出て、右手の山すそを走ります。左手下には流れこそ見えませんが九頭竜川の河川敷が、左手前方から正面にかけては、石川県と県境を成す、残雪が白く輝く山々が車窓に迫ってきます。
松岡駅
志比堺駅辺りの河岸段丘からの眺め

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永平寺松岡地区は、戦前まで羽二重や人絹(レーヨンのこと)織物の繊維産業で栄えたところ。
山すその小高いところにある志比堺駅は、その頃大勢の女工の乗降でにぎわった駅で、ホームにいると周辺の工場から機織りの音が聞こえたそうです。
構内には、往時のにぎわいをしのぶように、もう1線あった線路(ホーム)跡が残っています。
志比堺駅
志比堺駅周辺のスポット 松岡古墳群( 手繰ヶ城山古墳 )
永平寺川の小さな流れに架かる鉄橋の右手に桜を見たら、じきに電車は永平寺口駅に到着します。

永平寺口駅の木造駅舎は、鉄道開業と同時の大正3年(1914年)に建てられたもので、やがて100歳を迎えようとしています。
外観は、駅舎入口上の妻飾りや側面の窓枠など、洋館風でとても洒落ており、駅舎内も有人の切符売り場や木製ベンチなど、レトロな雰囲気を漂わせています。
それもそのはず、いまでは勝山永平寺線の中間駅にすぎない小駅ですが、かつては大本山永平寺への参拝客を輸送した旧京福電鉄永平寺線とのジャンクション(乗換え)駅。
現在、2・3番ホームのみが使われ、上下線の行き違いが行われていますが、大本山永平寺までの電車が乗り入れしていた1番ホームは駅舎に隣接して残り、3番ホームの向かいには、丸岡(現坂井市)・金津(現あわら市)への電車が乗り入れていたホームも残っています。またその奥には、鉄道開業時の変電所だったレンガ造りの建物があります。
旧京福電鉄永平寺線の線路跡を辿ることもできるので、時間があればぜひ途中下車をして、駅舎とその周辺を見ていただきたい駅です。
まもなく100歳を迎えようとしている
永平寺口駅の駅舎
永平寺口駅構内
永平寺口駅周辺のスポット 曹洞宗大本山永平寺永平寺緑の村四季の森文化館
越前竹人形の里わくわくRiverCAN九頭竜川資料館

永平寺口駅からは、路線バスで「大本山永平寺」へ行くことができます。
乗り継ぎの案内は、こちらから

永平寺緑の村四季の森文化館
「越前竹人形の里」の竹人形
永平寺口駅からは田園の中を進むようになり、戦後に設けられた下志比駅、静かな集落内にある光明寺駅と続きます。
光明寺駅を出て、電車が集落を抜けると、れんげ畑が左手の車窓に広がります。田んぼの地力増進のために作付けされているもので、4月下旬から5月上旬にかけて、きれいなピンク色のじゅうたんを敷きつめたような鮮やかな景色を見せてくれます。

難読駅である轟(どめき)駅は、こじんまりとした可愛らしい白い駅舎が印象的。
ちなみに「轟」という地名は、「川が勢いよく流れているところ」「滝や川の音がするところ」でよく見られ、ここでは暴れ川・崩れ川といわれた九頭竜川の流れに由来していると思います。
奥に見える白い山塊は浄法寺山
ポイントの上にスノーシェルターが
設けられているところもあります

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田園の中にある越前野中駅。ホームからは、正面に浄法寺山、その右手に鷲ヶ岳の頂(いただき)が見えます。
同じく正面(国道側)に見える集落には、九頭竜川の伏流水で地酒を造っている酒蔵があります。(歩いて4分くらい)

山王駅は、永平寺町上志比地区の中心地にある駅。
越前竹原駅は、吉峰寺(徒歩約40分)や弁財天白龍王大権現(徒歩約15分)への最寄り駅。春には枝垂(しだれ)桜、秋には大銀杏(いちょう)がきれいな興行寺(徒歩約10分)もおすすめです。
越前野中駅を出発する電車
古刹「吉峰寺」
商売繁昌の神様「弁財天白龍大権現」
庭園の枝垂桜が美しい「興行寺」
山王駅周辺のスポット JA吉田郡農産物加工所上志比ミネラル温泉 CAMU湯
市荒川水力発電所の黒くて大きな水圧鉄管の横を過ぎると、右手の山に取り付き、九頭竜川を見下ろしながら進んで行きます。
小舟渡(こぶなと)駅は、右から迫る山と左に流れる九頭竜川に挟まれた狭いところにたたずむ小駅。今は駅近くに民家が数軒あるだけですが、6年前までは近くの温泉施設を利用する乗降客でにぎわっていた駅です。
昔からこの辺りは交通の要衝で、明治・大正期には九頭竜川に小舟を並べた舟橋が設けられていました。鉄道開業後も、九頭竜川対岸の集落などからの往来が相当あり、駅構内には貨物扱いのための側線もあったそうです。
市荒川発電所付近を走る電車
小舟渡駅付近からの九頭竜川の流れ

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小舟渡駅を出ると、しばらくは九頭竜川に沿うように進みますが、やがて田園の中に入り、発坂駅・比島駅間の急勾配を抜け、遠方に九頭竜川対岸の弁天桜が見え出すと、じきに終点勝山駅に到着します。

勝山駅から人気の観光施設「県恐竜博物館」への乗継ぎ案内は、こちらから
保田駅近くの桜並木
残雪の大日山・越前甲をバックに咲き誇る弁天桜

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えちぜん鉄道の「フリーきっぷ」について

えちぜん鉄道を週末に利用するなら、一日に限り乗り降り自由な「一日フリーきっぷ」がお得です。

  ・大人 800円
  ・小児 400円


土休日と年末年始(12月30日〜1月3日)に使用できます。

春・夏・冬休みに親子で乗車するなら「春・夏・冬休み親子フリーきっぷ」

  ・大人1人+小児1人 1,200円   ・大人1人+小児2人 1,600円
  ・大人2人+小児1人 2,000円


使用できるのは、学校が休みになる春休み・夏休み・冬休みの期間です。


えちぜん鉄道「サイクルトレイン」の運行について

昨年大変多くの方が利用し、好評を得たサイクルトレイン。
自転車をそのまま電車に積込み、降りた駅からすぐアクティブに行動できるのが、この電車の面白さ。
今年はさらに利用しやすいよう、運行日を増やして実施されます。

今年の運行は、11月30日(日)までの土曜日・日曜日および祝日
自転車の乗降が可能な駅は、「福井」「福井口」「越前新保」「松岡」「永平寺口」「勝山」「田原町」「福大前西福井」「新田塚」「あわら湯のまち」「三国」「三国港」の計12駅。
利用可能時間は、8:00〜18:00までの乗車。降車は18:00以降でも可。
乗車の際には、乗車券(きっぷ)と併せて「サイクルチケット」(200円)を購入してください。

サイクルトレインについて、詳しくはこちらから



※輪行バックに入れての自転車持込みの場合は、従来どおり日時を問わず無料です。



「パーク&ライド」について

えちぜん鉄道では、最寄りの駅まで車で行き、そこから目的地までは電車を利用する「パーク&ライド」に取組んでいます。
サイクルトレインでは、自転車といっしょに乗降できる駅が限られています。
車で「パーク&ライド」の駅まで行き、車は無料駐車場に置き、そこから自転車。サイクルトレイン乗降駅に着いたら、自転車といっしょに電車で移動して、降りた駅からまた自転車。このようにすると、行動範囲が広がり、自由度も増します。
「車+自転車+電車」で、充実した休日を過ごしてみてはいかがでしょうか。

勝山永平寺線では、次の7駅にパークアンドライド用の無料駐車場があります。
「越前新保」「永平寺口」「山王」「越前竹原」「保田」「発坂」「勝山」

パークアンドライドについて、詳しくはこちらから


アテンダントについて

えちぜん鉄道の電車には、朝夕の通勤時間帯と日中の一部の電車を除いて「アテンダント」と呼ばれる女性乗務員が乗車しています。
乗車券の販売・回収、観光や接続案内の車内アナウンスが業務の中心ですが、高齢者や小さな子ども達の乗降のサポートなども行い、親切・丁寧な応対で、鉄道利用者から大変好評を得ています。

アテンダントがいる車内は、どことなく華やいだ雰囲気がありますので、ぜひアテンダントが乗務している電車に乗車してみてください。
※アテンダントが乗車している電車には、「アテンダント」と表示された小さなサボ(行き先などを示すサイドボードのこと)が電車側面についています。



えちぜん鉄道について、詳しくはこちらから
えちぜん鉄道三国芦原線の沿線紹介について、詳しくはこちらから

 

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