あそびーのマガジン vol.70

福井県一の大河「九頭竜川」の河口に位置する坂井市三国町の三国湊町は、千年以上昔の文献にも「三国」という地名の記述があるほど昔から栄え、歴史がある町です。
古来より三国湊は、九頭竜川やその支流「足羽川」などを使った水運による物流の拠点で、戦国時代の武将「朝倉義景」が居城を構えた「一乗谷朝倉氏遺跡」内の庭園跡には、船によって運ばれてきた東尋坊周辺の岩が庭石として残っています。
また、朝倉氏の後福井を治めた「柴田勝家」も水運を重視し
足羽川近くに居城「北の庄城」を構え、荷揚げ用の港を設けていたそうです。

  江戸中期になると、狭い範囲で行っていた水運・海運が、それらの港をつなぐ海上航路へと発達し、「北前船交易」が始まります。三国湊においても、海運で上方(関西)・瀬戸内・山陰・東北・北海道から物品が集まり、物流の一大集積地としてにぎわいだすと、湊町には北前船を所有する廻船問屋をはじめ、様々な物品を販売する商店らが軒を並べ、町は大きく発展しました。
その繁栄は、明治に入ってもしばらく続きましたが、鉄道が開通し、物流の中心が船から鉄道へ移りだすと、次第にその輝きを失っていきました。

三国湊町には、北前船が残していった歴史・文化はもちろんのこと、歴史的建造物が多数あり、それら点を線につないでくれる案内役のボランティアガイドや、美味しい味がたくさんあります。
今月は、歴史と風情がある三国湊町を散策しながら、往時の繁栄の面影をたどり、いろんな美味しいものを味わってみましょう。







「三國湊座」「三国湊町家館」 「旧岸名家」「旧森田銀行本店」
「日和山金鳳寺」「出村の町並み」 三国の食べどころ・買いどころ
おすすめの散策ルート 散策MAP


       まずは、三国湊町の概要を知りましょう  「三國湊座」「三国湊町家館」

散策のスタートは、多くの見どころが集まっている「三國湊きたまえ通り」で、まずは情報集めから。

三國湊座は、この辺りの情報発信地。見どころの紹介をはじめ、レンタサイクルやガイドツアーの受付けも行っています。
館内は食堂になっていて、三国特産のらっきょうが入った「三国バーガー」や三国のえびが入った「エビクリームカツバーガー」などが食べられます。

三国湊町屋館には、三国湊町や東尋坊周辺を案内してくれる「ボランティアガイド」が常駐しています。
三国湊町の昔の写真や「引き札」といわれる昔の三国湊町にあった商店の色鮮やかな広告が掲示され、5月に行われる北陸を代表する祭り「三国祭」の山車巡航の様子をビデオで見ることもできます。
ボランティアガイドは三国の見どころ・食べどころなどをよく知っていますので、ガイドおすすめの情報を聞きだしてみてはどうでしょうか。

町歩きの前に立寄りたい「三國湊座」

町家館では貴重な昔の三国湊町の
写真を見ることができます

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       北前船交易にまつわる見どころ  「旧岸名家」「旧森田銀行本店」

岸名家は、材木商を営んでいた三国湊町を代表する豪商の一つ。その家が今でも残っており、無料で見学することができます。
建物へ入ったところの土間は、かつて店だったところ。右手には帳場がそのまま残っています。
土間から建物の奥へと続く細長い通路は、昔は大八車が材木を積んで行き来した通路。今はトイレのところで通路は途絶えていますが、昔は更に奥まで伸びていて、家の裏にあった船着場まで続いていたそうです。

また、土間や通路には、福井市にある足羽山から

旧岸名家をはじめ三国湊町の町家の屋根は
このような「かぐら建て」と呼ばれる形をしています


採石された「笏谷石(しゃくだにいし)」が敷き詰められており、長年の人や物の行き来で表面が削れ、デコボコしています。
畳の間の奥には「水琴窟(すいきんくつ)」があり、杓子で水をたらすと聞こえてくる、涼やかな音を楽しむことができます。
今にも番頭さんが出てきそうな旧岸名家の帳場
玄関から続く通路は笏谷石という石が
敷き詰められています


森田家も三国湊町を代表する豪商の一つ。
森田家は明治の中頃まで廻船業を営んでいましたが、海運の衰退をいち早く察知し、金融業へと転換を図りました。
銀行は大いに成長し、1920年(大正9年)、この建物が新しい本店として建てられました。
外観は西洋風のデザイン。中に入ると、その豪華さに目を見張ります。大きな吹き抜けの空間、天井の漆喰、カウンターのケヤキの一枚板、重厚な金庫の扉、窓枠や壁に施されたきれいな象嵌(ぞうがん)など、派手な贅沢さではなく、品の良い優美さが感じ取れます。
重厚でモダンな印象の旧森田銀行本店の外観
この建物は、10年ほど前まで森田銀行と合併した福井銀行の支店として営業されていましたが、現在は有形文化財に登録され、館内を無料で見学することができます。
中は吹き抜けの大空間が広がっており
天井には漆喰の装飾が施されています

会議室の壁などいたるところに象嵌や木彫りの装飾が
施されており優美さを感じます

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       三国の文化にまつわるところ  「日和山金鳳寺」「出村の町並み」

北前船交易が盛んだった頃、三国湊町には全国から様々な文化が入ってきました。その頃上方ではやっていた俳諧(はいかい、俳句を詠むこと)もその一つ。
三国湊町の日和山(ひよりやま)に建つ「金鳳寺(きんぽうじ)」では、豪商などの有力商人たちが俳諧を楽しむため吟社(俳句を楽しむ団体)をつくり、御堂などから船の往来や風景を眺めながら句会を催していました。
日和山吟社については、旧岸名家の2階にゆかりの品々が展示されています。
また、日和山金鳳寺そばには、第1回芥川賞候補になった昭和を代表する作家「高見順」の生家があります。
ちなみに、「日和山」という地名は全国各地にあり、港近くにある高台で船の行き来や天気を眺めていたところだそうです。

三国湊町の「出村」といわれる辺りは、昔花街があったところ。昔の豪商など有力商人たちが毎夜お座敷遊びをしていたといわれ、昭和初期の若旦那衆の写真は、出村にある料亭で見ることができます。

また、お座敷で奏でられていた三味線の音色は今でも聞くことができます。
三國湊座前にある店では、店内で三味線の音色や小唄を聞きながらお茶を飲むことができ、三味線の体験もできます。

湊町の中で少し高い場所にある日和山金鳳寺

高見順の生家は湊町の片隅に
ひっそりと佇んでいます


今なお往時の面影を色濃く残す「出村」の町並み
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       三国の食べどころ・買いどころ

三国といえば海の幸。前述の出村の料亭をはじめ、えちぜん鉄道三国駅近くや湊町内に寿司屋や割烹などがあります。手軽に食事をされたいときは、そば屋でフクイ名物の「越前おろしそば」や「ソースカツ丼」はいかがですか。
飲食店の店構えも昔ながらの雰囲気があります
(出村近くのそば屋)





甘いものが好きな方は、ぜひ「酒まんじゅう」をお試しください。ほんのりと芳しい香りがする皮の中に、優しい甘みのこし餡がずっしり詰まっています。
三国名物の一つとして、いくつもの菓子店・まんじゅう屋で作られており、表面に押されている焼印は、店によって違います。
三国名物の「酒まんじゅう」は
店により表の焼印が異なります


三国湊町の歴史を味わうなら「鶯餅(うぐいすもち)」。300年近い歴史をもつお菓子で、こし餡を包んだ薄めの餅皮にきな粉をまぶした、上品な味わいです。
鶯餅の味も北前船交易で三国湊町に
様々な物資が集まったからこそできたもの




また、湊町にある土産物屋も充実の品揃え。
三国特産の「花らっきょ」「もみわかめ」「越前うに」をはじめ、フクイの地酒や銘菓など、三国やフクイの旬な物を扱っています。
もみわかめはビン入りのものがおすすめ
温かいご飯にふりかけて食べます


*それぞれのお店については、「三國湊座」「三国湊町家館」で詳しく聞いてください。

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