あそびーのマガジン vol.59
機織の音、新酒の香り、電車のある風景 〜松岡藩城下町を巡る旅〜

福井県一の大河「九頭竜川」が、山間から福井平野に流れ出るところに位置する永平寺町松岡地区。
古墳時代には都があり、周辺に点在する古墳の数がその頃からひらけていた土地であることを物語っています。
江戸時代には松岡藩がおかれ、今でも高い評価を得ている酒造りは、その頃から盛んに行われるようになったものです。
明治に入ると、羽二重や人絹(じんけん:レーヨンの意)織物の繊維産業で町はにぎわい、戦前、松岡の電車の駅は工場に働きに来る女性であふれかえっていました。

一年で一番寒いこの頃は、新酒が搾られる時期。機織工場から聞こえてくる「カシャンカシャン」という音を聞きながら、酒蔵めぐりはいかがでしょう。
今月は、電車で行く松岡の町歩きを紹介します。

散策コースの見どころ紹介
えちぜん鉄道松岡駅

現在の松岡駅舎は、昭和17年3月に建てられたもの。大正3年の鉄道開業当時の駅舎を模して建て直されたと言われており、レトロな雰囲気が漂う、可愛らしい木造駅舎です。

大正ロマンを感じる駅舎

お館の椿(松岡藩御館跡地)

江戸時代の約80年間、ここ松岡地区は福井藩から分藩され「松岡藩」と呼ばれていたことがあります。
その時、藩主の居館が置かれたのがこの場所。館の周りには内堀と外堀を設け、その2つの堀の間に100軒余の武家屋敷を配置しました。外堀の外側には、東西に勝山街道を配し、その沿道に町家を並べ、城下町を形成していました。
約7,800坪あったといわれる居館は、今は跡形もなく、藩主が愛でていたと言われる樹齢300年以上の「お館(たち)の椿」が、往時の場所を示すのみです。

民家の横に
ひっそりと佇んでいます

酒蔵(田辺酒造・黒龍酒造)

ここ松岡は、松岡藩が置かれていた江戸時代から多くの酒造業者があった、酒造りの好適地。
酒造りに適した良質な水が得られること、水車の利用による精米労力の軽減などにより、明治の初めにはその数が17軒まで増え、その生産量も著しく増えました。
現在でも、「田辺酒造」と「黒龍酒造」 の2軒の酒蔵が酒造りを営んでいます。

この2軒の酒蔵は、「全国新酒鑑評会」で金賞を何度も受賞している、銘酒を作り出す酒蔵。
それぞれの代表銘柄「越前岬」「黒龍」は、どちらもフクイで大変人気のあるお酒です。
また、どちらの酒蔵も風情ある佇まいをしており、ぜひとも立ち寄って、酒蔵の雰囲気、新酒の香りを感じてください。

田辺酒造では
試飲ができます

創業200年を超える
黒龍酒造

旧本町筋(松岡春日1・2丁目の通り)
旧椚町筋(松岡神明1丁目の通り)

旧本町筋・旧椚(くぬぎ)町筋は、どちらも藩主居館と武家屋敷を取り囲む外堀の外側に形成された、町人街の中にあった通り。
今でも大正から昭和の初めに建てられた格子戸のある家屋が点在していて、街道筋の雰囲気が色濃く残っています。

また、松岡地区を歩いていると、どこからとなく「カシャンカシャン」と、機織の規則正しい音が聞こえてきます。
その機業場の多さ、そして、至る所に残っている木造の大きな機業場を見ると、当時どれほど機織でにぎわっていたかが想像できます。

旧本町筋には
格子のある民家が
点在しています

天龍寺(芭蕉塚)

江戸時代初期に創建された古刹。
俳人「松尾芭蕉」が奥の細道の途中で立ち寄った寺として有名で、境内にはここで詠んだ句の碑と「芭蕉塚」があります。
冬の積雪期には、本堂の大屋根に積もった雪が参拝者に落ちないよう、雪国特有の雪囲い(雪避け)がされています。

松尾芭蕉は旅の途中
この寺の和尚に
会いに来ました

古墳公園(松岡古墳群)

この松岡地区一体には方墳・円墳・前方後円墳が点在していて、これらの古墳約50基を総称して「松岡古墳群」と呼んでいます。
この古墳群の特徴は、山中に6基もの大型古墳があること。そして、その大型古墳の被葬者が必ず笏谷石でできた舟形石棺に安置されていたことが挙げられます。
このことから、この古墳群は越の国を支配した大首長の墓とされ、古代、この地域は北陸の他の地域よりいち早くひらかれ、3〜5世紀には越王国の都があったとされています。

天龍寺前の坂道の先にある山は、弥生時代後半から古墳時代につくられた古墳の一部。
この坂道を進むとまもなく見えてくる忠霊塔の奥には、「春日山古墳」があり、横穴式石室を見学することができます。
さらに少し進むと、古墳公園があり、そこの展望台からは松岡市街、九頭竜川、遠くには坂井市の丸岡市街まで望むことができます。

さらに、その坂道の先にある登山道から山に入っていくと、「乃木山古墳」「石舟山古墳」「鳥越山古墳」「二本松山古墳」に行くことができます。(ただし、ハイキング(軽登山)コースですので、積雪のない時期の散策をおすすめします。)
ハイキングコースについて、詳しくはこちらから

春日山古墳では
石棺をまじかに
見ることができます

古墳公園展望台から
見下ろす松岡の町


移動のみ
約 50 分
えちぜん鉄道松岡駅

約0.2km

約3分

旧椚町筋

約0.6km

約8分

お館の椿

約0.5km

約7分

酒蔵(田辺酒造)

約1.0km

約14分

酒蔵(黒龍酒造)

約0.1km

約1分

天龍寺

約0.2km

約3分

古墳公園(展望台)

約0.8km

約11分

えちぜん鉄道松岡駅
DATA & INFORMATION

松岡地区の食べどころ・買いどころ けんぞう手打蕎麦 | 浜田醤油味噌醸造


永平寺町松岡地区へのアクセス この散策の途中、のんびりと走るえちぜん鉄道を何度も見かけることでしょう。
松岡まで、福井からなら所要約20分。(運賃大人380円)
福井市街を抜け、田園風景がのどかに広がる車窓を眺めながら、松岡まで電車の旅を楽しんでみてはいかがですか。

日中は、30分おきに電車が走っています。
土日には、乗降り自由の「1日フリーきっぷ」も販売されます。(大人800円、小人400円)

もう1軒、酒蔵紹介 永平寺町には散策ルートで紹介した他に、もう1軒、酒蔵があります。
「白龍」が代表銘柄の吉田酒造
九頭竜川の伏流水という良質の「水」と、土壌豊かな田んぼで社長自らが作付けする有機栽培の「米」とが、杜氏の熟練した「技」と相まって、、旨し酒になります。
米作りから酒造りまで責任を持つ「一貫造り」にこだわった酒蔵です。

〔最寄り駅〕

  

えちぜん鉄道「越前野中駅」下車、国道416号線方向へ徒歩約3分
松岡駅から6駅先、所要約15分(運賃大人320円)

けんぞう手打蕎麦

えちぜん鉄道""




吉田酒造

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